2011-10-23

喪なわれた岩壁―第2次RCCの青春群像 / 佐瀬 稔 (著)

喪なわれた岩壁―第2次RCCの青春群像 (中公文庫)喪なわれた岩壁―第2次RCCの青春群像 (中公文庫)
佐瀬 稔

中央公論新社 1999-06
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本日は散らかし気味の雑誌や書籍の整理をば。
先々月の山渓(9月号ということ)の特集はなるほど「谷川岳」だったか。関西人からすれば群馬県は遠き果て、百名山完登を指向しているわけでもなく、個人的には興味の範疇から外れていて、購入したもののほとんど目を通していなかった。
バラバラとページを繰っていると、とあるページに記された名前と写真が目に留まる。先だって読了した文庫本「喪われた岩壁」に登場する松本龍雄という方、掲載された記事は短いものながら読み進めていくとちょいと胸が熱くなってきた。

戦中戦後の荒廃期、自らのアイデンティティを表出すべく、命懸けで未踏の岩壁に攀じりルートを切り開いていくことに情熱を傾けた市井のクライマーたちの熱い熱いお話。一途で不器用、ルサンチマンな空気が漂う青春群像はやがて日本山岳会主体の権威的な登山界に変革をもたらす。

読み進むにつけ、夢枕獏の「神々の山嶺」にて羽生丈二が発するかの台詞が思い出される。
「これしかなかった。他の奴等みたいに、あれもできて、これもできて、そういうことの中から山を選んだんじゃない。これしかないから、山をやっているんだ。」(そういえば、今月の山渓にも載ってたなあ)
そんな台詞がしっくりくる時代の雰囲気が全編に満ちていて、登場する町の山岳会に属するクライマーたちの様々なエピソードには涙してしまうことも少なくない。

岩登りは畏れ多くて、門外漢ですから技術的な面では理解の及ぶところではないけれど、この本は頗る付きに面白かった。

で昨今は、ここに登場する方々の著作を収集すべく古書店を巡ったりしている。
一昨日、近くの古書店で「わが岩壁」古川 純一(著)を入手。中公文庫版ではなく、山渓から昭和40年に発刊されたものである。

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