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2015-02-28

ドキュメント 気象遭難 / 羽根田 治

ドキュメント気象遭難ドキュメント気象遭難
羽根田 治

山と溪谷社 2003-05-01
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御嶽山本の後、年初に読了したもの。
山岳関連の書籍や雑誌やサイトでは、著者の書いたものはよく見受けられ、目を通している。

気象遭難という題材に面白く読了したとしてしまっては語弊があるも、紹介されているいずれの事象も興味深いものばかりでスラっと読み終えてしまった。
自らの備忘録&他山の石とすべく、本文から幾箇所か引用し記しておく。

より理解を深めるための配慮なのだろう、各章とも、遭難事例の内容に加えて、専門家による気象解説と地上天気図、雲の画像が添えられている。

春・沿海州低気圧 谷川岳ー雪崩
登山のエキスパートらが登攀時に遭遇した雪崩が主題。
「事故の要員となった雪崩は、沿海州の低気圧に向かって南風が吹き込んで気温が上昇し、雪が緩んだことによって引き起こされた。」(同書より引用)とある。
春へと移ろう時期はその雪質の見極めが重要。まあ、これは容易ではありませんなあ。

春・春の嵐 伊那前岳ー突風
「この事故に関して言えば、遭難者は強風に吹き飛ばされて亡くなったとしか考えられない。断定はできないが、事故当時の状況からして、おそらくその可能性が最も高い。」(同書より引用)、
人間をいとも簡単に舞い上げるような風が吹く状況は想像し難い。

そういえば、立山での2度目の春山山行の折、撤収時に雷鳥沢キャンプ場から室堂までの間で終始強風に苛まれたことがあった。テント泊の重めの装備を担ぎつつも、吹き飛ばされそうな風の威勢に怯みっぱなしだった。少し進んでは幾度も耐風姿勢を繰り返し、標準の所要時間を大幅に上回るペースでどうにかこうにか室堂に至ったことが思い出される。

「そもそも中央アルプスでは、三月半ばから四月にかけて猛烈な風が吹くことが多いのだそうだ。そのなかでも2911メートルピークから伊那前岳にかけての稜線上は、とくに風の強いところだと言われている。しかもそういうところでは、地形によっては吹き上げ風が発生するのだと、(略)」(同書より引用)。

「たとえば同じ場所、同じ次期でも、山の状況は気象条件で全然違ってきちゃう。だから山で自分の安全を確保するためには、まず気象の変化による山の状況の変化に自分の技術で対応できるかが大事になってきます。昔の登山者がいちばん恐れたのは気象ですよ。今の登山者は、気象の変化に対する危機感を全然持っていない。気象の変化から自分の身を自分で守るための危機管理の意識が、間違いなく薄れてきています。今回の事故はその延長線上にあるといっても過言ではないと思います」(同書より引用)、
私らみたいな中途半端な中高年登山者にとっては耳に痛いメッセージではある。

この事例の起こった日時は、2002年3月21日のこと。現在運行を休止している千畳敷ロープウェイが来月後半に復旧するとの報に、4月半ばの木曽駒ヶ岳山行を計画していたり。心してかからんとあきませんね。

夏・雷 塩見岳ー落雷
中高年登山者を主体としたツアー登山での事例。唯でさえお任せの雰囲気はあったでしょうから、個々の登山者の天候観測の力量以前の問題で、予測しがたい状況で最悪の事態に至ったってことだろうが、主催するツアー会社の責任が大ではあるかな。蛇足となりますが、個人的にはね、山行の全幅を他者に委ねるような登山はしたくないというのがホンネのところ。

「山で落雷事故に遭わないようにするには、雷の発生を予知して逃げるのがいちばんだ。そのためにも山行中には毎朝毎晩、天気予報をチェックし、行動中には観天望気に注意を払うようにしたいものである。」(同書より引用)。

観天望気とか気象に関する知識については、著しく欠落しているのを自覚していますから、実は偉そうなことは言えない。

夏・台風 トムラウシ山ー低体温症
本書が出版されたのは2003年となっていますから、2009年の近年稀にみる死者をだした遭難事故以前のこと。同じトムラウシ山にて、規模は違えど2009年の事故と似通った状況下での低体温症による遭難事例である。2009年のがツアー登山で本書の事例は自主山行、との違いはあるものの、どちらの場合も根本は、悪天候の中を行動するべきではなかった、につきるよう。過酷な状況において、如何に判断し行動するか、あらためて考えさせられる。

同事例の同日に居合わせるも、何らかの対処をするでもなく、登頂を優先してそのまま通りすぎた登山者のあり様について、地元・北海道新聞の記事が紹介されている。短文ながらいささかショッキングなのが印象に残る。

「〈あの朝登頂したすべての登山者に問いたい。あなたがたは、下半身を寝袋に包み、あおむけに横たわっている女性のわきを通りすぎたはずだ。声はかけたか。手は合わせたか。その後、極めた山頂での気分はどうだった。せめて、後味の悪さぐらいは感じたか〉」(同書より引用)。

山行では常に危険と隣り合わせ、相身互いが前提となりましょう。自ずと良識を持って行動したいもの。

秋・太平洋沿岸低気圧 立山ー凍死
中高年登山者の大量遭難事故として、よく引き合いに出される事例ですから、既知ながらも事故の詳細を知るのは同書によるところが大。

当時、救助にあたった内蔵助山荘オーナーの言、
「装備云々よりも、引き返す決断力があったかどうかに尽きると思います。まず勇気を持って引き返すことができたなら、この事故は防げたんじゃないですか」(同書より引用)。

尚、この章では中高年登山ブームについても言及されている。

冬・西高東低 剱岳ー異常降雪
冬・二つ玉低気圧 剱岳ー暴風雪
剱岳の事例については、どちらも厳冬期の先鋭的な登山における事故が対象となっていて、いわゆる冬剱の苛酷さを再認識するばかり。

気象の事象については読み解くものの、厳冬期の剱岳山行のあり様ばかりに興味が向いてしまっていけません。
憧れはありますものの、厳冬期の剱岳に自ら臨もうとすることについて、その実効性を云々しようとするほど無知ではないと自認してますし、所詮、冬剱なんて高嶺の花。敷居が高いレベルのお話ではもうとうなし。

技術や体力はもとより、山行に数週間もの期日を確保するなんてのもあり得んし。 いつか、GWの時期にでも行けたらなあ、などと密やかに考えてみたりはするものの、先ずは夏の課題を済ませてからとなるか。


総じて、ネガティブな情報は棚上げとするスタンスでは、安全(?)登山は成り立たず。そういう意味では、こういった書籍は参考になる(はず)。
山でのリスク回避するためには、経験に裏付けされた知識と技術にもちろん体力も不可欠。体力ともどもオツムの方も鍛えていくよりなしか。けどオツムの方は無理そうな…。

2015-01-02

ドキュメント 御嶽山大噴火

ドキュメント御嶽山大噴火 --生還した登山者たちの証言を中心に救助現場からの報告と研究者による分析を交え緊急出版!-- 【地図付】 (ヤマケイ新書)ドキュメント御嶽山大噴火 --生還した登山者たちの証言を中心に救助現場からの報告と研究者による分析を交え緊急出版!-- 【地図付】 (ヤマケイ新書)
山と溪谷社

山と渓谷社 2014-12-01
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昨年秋の大惨事について、さほど時が経ていないながらも、ヤマケイから関連書籍が出版されていたので、御嶽山の今後を知る足しになるかなと、期待と興味もほどほどに入手した。

本書は、噴火の発生から10日間のドキュメント、この災害の中に身を置きながらも生還した被災者らの証言、専門の学者による科学的な考察、救助にあたった公的機関や小屋関係者の報告と提言、から成る。

巻末に掲載されている生存者が負うサバイバーズ・ギルドに関しての解説については、特に興味深く拝読した。
被災者や研究者、救助機関から提起されている災害に関わる対処法のいずれもが示唆に富むもので、山ヤを自認する身であれば、自らの心内に留めおくべき事柄と素直に思い至る。

夏のシーズンに2度訪れた御嶽山の山行は、自然に満ち溢れた様子や独自の山岳風景に魅せられて、個人的にはとても印象深いものだった。
以降も様々な山行きでかの独特の山容を眺めやるにつれ、そのうち機会があればまた、冬期にも一度登ってみたいもの、などと憧憬の念ばかりを膨らませていたように思う。

その日は山行には赴いておらず、テレビのニュースで噴火の第一報を知った。次第に詳らかになる過酷な状況を知るにつけても、登山を愛好していながら当事者感覚は希薄でいたって暢気、身近に感じていたはずの山が少しずつ遠くように感じられて残念な想いに支配されていたんだった。
本書を紐解いてみると、現場は想像していた以上に凄惨な状況であったことがうかがえ、誰にというわけでもなく、少しばかり恐縮の念がもたげてくる。

2014-12-29

アルピニズムと死 僕が登り続けてこられた理由 / 山野井 泰史

アルピニズムと死  僕が登り続けてこられた理由  YS001 (ヤマケイ新書)アルピニズムと死 僕が登り続けてこられた理由 YS001 (ヤマケイ新書)
山野井 泰史

山と渓谷社 2014-10-24
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アルピニズムって言葉、その響きはとても格好よく、何気に惹かれるものがあり。

山を始めてよりは折に触れ、幾度か検索の対象としてその意味するところを探りつつ、その都度、自らにはとてつもなく無縁の事柄であるとの認識を深めるばかり。 本書を読了してよりは、そんな印象を尚更新たにする。

少なくとも日々のたずきを成立させるべく、そのための職に就く者であれば、おいそれと口の端に上る用語ではあり得ないのでは。 私個人のあくまでも独善的な解釈でありますが。山野井さんであればこそ、語るに足る高尚な言の葉でありましょう。

登山ブームは「楽しむだけ」の登山者を生んだ。
ネット上には無数の「山」があふれ、
メディアはごぞって気楽な山を紹介する。
”同書より引用”

同書で綴られる数多の困難な山行より導き出されるもしくは語られる教訓(?)は私ら「楽しむだけ」の登山者には、あまりにもかけ離れた世界、そんな風に思われる。そこはやはり山野井さんならでは。
もちろん、読み物としてはけっこう読ませますし悪くありません。

実際、上に引用した続きがこれまた格好よく、著者の面目躍如な感じがあり更に引用したいところなれど、ある意味、同書のタイトルに起因するというか、ネタバレ的なとこがあるのでやめときましょう。

この5月のGW、その日の16時頃やっとこさ槍ヶ岳山荘に辿り着き、泊まりの手続きを済ませた私は、はてさてこれより本峰に登っておくべきかと小屋の前で思案していた。その折、ナント著者が目の前にいらっしゃったのでした。
同じく小屋の前にいた知り合いの方だったのでしょう、自ら「山野井です」って語られているのを聞きつけたってことなんですが、 真っ黒な顔をされていましてね、北鎌をやってこられたとのことでした。

自らはアルパインな山とは無縁ではあるものの、一ファンとしてはこれからも山野井さんの胸躍らせられる活躍に期待するわけであります。

2013-08-31

カラー 空から見た北アルプス / 写真 山田 圭一



先のカラーガイドのページを繰りながら、この装丁の本って他にも見たことがあるような・・・、ということで捜索してみますと、同書がありました。
山渓カラーガイドの16巻。

私と同じ年齢の頃から山を始めて、先年、寄る年波には勝てぬ、と山歩きを引退した叔母よりまだ使えそうな山道具と地図・書籍を併せて頂戴した中の1冊。

こちらは航空写真と解説が交互に配された構成となっている。
いくつも付箋が貼られ、全体の1/4ほどのページが剥がれかけていたり、読み込まれた感がありありとうかがえる。
ナルホド、私の嵌まり様も理解してもらえるわけか。
そういえば、叔母には山行の報告も間遠になりがち。
マメに連絡せねば。

カラー 穂高岳・槍ヶ岳 / 三宅 修・山下 喜一郎・岩場 崇至



最近、古書にて入手した山関連の書籍。

山渓カラーガイドと銘打たれたシリーズ物の55巻にあたるよう。
奥付を見ると、
初版発行 昭和47年8月1日
8版発行 昭和52年5月1日
とある。

「まえがき」より一部引用、

バスに揺られて誰でも行ける上高地、気軽なサブザックで歩ける一般コースから高度の技術を要求される超一流の岩場まで、この山域には幅広く山の好きな人々を惹きつける魅力があふれている。
その魅力を、この山渓カラーガイドで整理し、再現してみたら、限られた休暇に行き場のない山恋いの心を持てあましている山仲間の、机上登山のゲレンデとして役立つのではないか、あるいは公害騒ぎの町の中に、ここだけはいつでも穏やかな山頂の憩いを感じてもらえるオアシスになりはしないか。そんな願いをこめて撮影し、まとめてみた。

とあるように、同書は所謂、山行ガイド本って感じではなく、写真ページと解説ページを交互に配した鑑賞・読み物的な内容となっている。

ページを繰り、見慣れた風景やねと眺めつつ、あんなところにこんな祠があったかしら、みたいに現在と異なる事物が写っているのは興味深い。

日本の岩場<第3版> / 小森 康行



最近、古書にて入手した山関連の書籍。

東京新聞出版局よりの発刊、雑誌「岳人」からということか。
奥付を見ると、
昭和42年10月1日 第1版
昭和50年10月30日第3版
とある。

発刊されてより40年近く経ているわけで、現状の状態に照らし合わせて参考になるのか?なんですが、それこそ中公文庫なんかで出版されている古い登攀関連の書物を紐解く参考になるのではと、入手することに。
決して高くない、ウン百ウン十円というお手頃な値段でありましたし。

B5判くらいでしょうか、ハードカバー仕様で箱入りです。
カバーに記された定価を見ますと3,200円となってます。
いやまあ、昭和50年当時でこの価格とは、けっこうなお値段だったようで。

私の山旅 / 槇 有恒



最近、古書にて入手した山関連の書籍。

岩波新書で、奥付を見ると、
1968年2月20日 第1刷発行
1974年11月10日 第8刷発行
とある。

これは、昨年、中公文庫から発刊された同著者による「山行」の底本になるのかしら。

中公文庫で著作のある板倉勝宣氏(「山と雪の日記」)が遭難死した経緯が記されているようなので、購入してみる。

山頂山麓 / 深田久弥



最近、古書にて入手した山関連の書籍。

深田久弥 山の文庫(全6巻)中の4巻目。
奥付を見ると、「昭和57年10月20日 第1刷発行」とある。
同山の文庫では、3巻目の「山岳展望」も以前に古書にて入手済。
他に「山頂の憩い『日本百名山』その後」(新潮文庫)もあり。